Q&A1. なぜ”木の家”が良いのですか?      

ヨシコ

”ヽ(*’-‘*)オヒサ♪ 「くにおさん」もう秋ね!   秋の夜長をどう過ごしてます?”

クニオ

”そうだなー、秋の日暮れは釣瓶落としだからね、長い夜は読書に耽ります!”

ヨシコ

”読書?  最近スマホに溺れていたから読書はいいかも、目の疲労も取れるかな?”

クニオ

”スマホより疲労の蓄積はないかも、でもやはり、リラックスできる環境が大事じゃないかな”

ヨシコ

”そうよね、五感がリラックスでき、優しく包み込まれるような環境がいいわね”

クニオ

”とすると「木の家」かな!”

ヨシコ

”やはりね (o゚ェ゚))ゥンゥン  前から聞こうと思っていたんだけどなぜ「木の家」が愛されるのでしょうか?

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クニオ

”なぜ木の家が愛されるのか、日本は”木の文明の国”と言われるほど木との関わりは深いよね、代表的な理由を三つ上げますね”

ヨシコ

「お願いします」

クニオ

”万葉集(*1)に

 「真木柱(まきばしら) ほめて造れる 殿ごと いませ 母刀自(ははとじ) 面(おめ)変わりせず」            作者:坂田部首麻呂(さかたべのおびとまろ) 

 と詠まれた歌があります。

ヨシコ

”はい、どんな意味?”

クニオ

”「檜のような立派な柱で、ほめて建てた御殿のように、長く元気であってください母上 …」といった意味で、家屋の新築に当たり、その家の長久や健康を母に重ねて願った歌です。古代人は木の家に住まう喜びを、母の無事に見立てたと言われています”

ヨシコ

”「木の家」を母の長命に重ねる … か ”

クニオ

”その思いは、私たちのDNAに刻まれて、無意識に木の家を求め、心の安寧を求めるという精神基盤がつくり上げられたと思うんですね”

ヨシコ

”木の年輪のように、私たちのDNAに刻まれた年輪が木の家を誘うか……なんか納得 ”

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ヨシコ

”じゃー二番目の理由を伺いましょうか”

クニオ

”二番目は日本の木の文明(*2)の成立に関わるんだけど、木のシンボル性と樹木信仰にあります”

ヨシコ

”木のシンボル性と樹木信仰?”

クニオ

”古代に限りませんが、人々の結束の要として神の存在がありますね、木は神様が降臨する依り代です”

ヨシコ

”家の近所の神社にもご御神木があるけど、依り代って結構身近にあるよね ”

クニオ

”木のシンボル性は大黒柱の力強い姿を想起させますよね”

ヨシコ

”確かに、大黒柱は家の中心といった意識もあったんでしょうね”

クニオ

”木の文明を成立させた根底には、木のシンボル性と共に樹木信仰があり、この信仰が「木の家」を特別な存在にしましたね、きっと”

ヨシコ

”でも、木への特別な信仰は日本だけではないですよね?”

クニオ

”そうですね、やはり仏教(密教)の影響があると思うんです、仏教(密教)は神道と融合して神仏習合という独自の思想を生み出しましたよね、この神仏習合の世界観がずっと、私たち日本人の心の拠どころ(*3)だったからだと思うんです、山川草木悉皆成仏です”

ヨシコ

”わかるわ、日本は天地有情(*4)の世界観に満たされているから!”

クニオ

”日本の場合の樹木信仰は針葉樹信仰なんです、針葉樹は常世の象徴ですし、例えば檜は「真木さく檜」と呼ばれました、この「真木さく」は檜の枕詞ですね”

ヨシコ

”万葉集では、立派な木という意味だったわね?”

クニオ

”さくは拆(さく) 裂くの意味でもあるんです、桧や杉は繊維が通っていてまっすぐに裂くことがたやすくできるからね”

ヨシコ

”日本人が直線的な造形を好んだのは針葉樹信仰にあったのね”

クニオ

”そうだと思います”

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ヨシコ

”では続いて最後の理由をお願いします”

クニオ

”耐久性、美観性、経済性それから生理的に優位性が高いからでしょうか”

ヨシコ

”生理的な優位性は分る気もするけど、他の要素は疑問だなー”

”耐久性、美観性、経済性がどう結びつくかわからないわね”

クニオ

”「木の家」に身を置いた時、何かに魂を揺さぶられませんか?”

ヨシコ

”揺さぶられるネー  (ー_ー;)。o O (思案中)  えー やはり木組みが放つ圧倒的なオーラかな”

クニオ

”そーそこそこ、その木組みのオーラです”

”「構造の美しさこそ建築の本質」なんですよ……建築から受ける感動は構造と意匠の一体性(*5)にあるといわれます。

ヨシコ

”建築から受ける感動は構造と意匠の一体性か! (´ー`*)(´ー`*)ウンウン 分かるナー”

クニオ

”構造を「木組み」建築を「木の家」と翻訳すると……木組みとは構造と意匠が統一された姿と言えますね”

”さらに、木組みをあらわそうとする時、誰もが自然と入念なプロポーションを考えますね、余分なモノをそぎ落とした木組みに美が宿るんです”

ヨシコ

”なるほどね、美が宿るか!さらに隠さないから痛みかけた箇所を発見し修理できるから耐久性が増す”

クニオ

”わずかな手入れで「木の家」は寿命が延びる、ってことは経済的ってことです”

ヨシコ

”木組みの構成美、余分なモノをそぎ落とした木組みの簡素にして力強い美観性は、簡単に壊さない心理が働くから経済的であるってことですね、繋がりました ”

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(*1)「万葉集4342」 

(*2)「木の文明」の成立(上) 川添 登  日本放送出版界

(*3)「森を守る文明 支配する文明」 安田喜憲  PHP新書

(*4) 天地有情 

   天地万物が本来有情であるからこそ、自然の一部である我々人間もまた有情である

(*5) 建築構法の変革  増田一眞 建築資料研究所


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