地震対策にコア構造を採用?先建の知恵 

「松ヶ岡」工事見学会続き
「松ヶ岡」の主屋は、1854年(安政元年)に発生した安政東海地震(南海トラフ巨大地震)の後、地震の記憶も新しい中に建設が始まったので、建設にあたり幾つかの工夫がされていたので紹介したい。

耐震の工夫

”コア構造かも!”と改修工事を担当している京都伝統建築技術協会の担当者。

 平面図(図1)を見てみると、①〜⑥までの6本の柱で囲まれた日型の部分があります。

 近代建築の構造計画の手法の一つにコア構造がありますが、それと同じ構造観に立ち、6本の柱と横架材で組んで頑強に骨組みを固める、この骨組みを地震力を負担するコアとして活用しようと考えたのではないかとの推察。

 近代建築のコア構造は、エレベーターや階段,機械室,便所などを集合したエリアを建物のコア(核)とし,これを耐震壁として活用する建築構造手法です。

 「松ヶ岡」の場合は壁のない和室だから建築建築の構造コアとは一味違うが、耐震性を高めようというアプローチは同じように思う。

処で、富山県に「枠の内」という優れた伝統構法がある、石場にい置かれた6本の通柱とその柱を脚部から足固め、差し鴨居、頭貫で繋ぎ頑強な骨組み、住まいの平面計画の核(コア)として他の諸室を加えていく構法だ。

出典 日本列島・伝統構法の旅  松井郁夫氏

 「枠の内」を通して「松ヶ岡」を視ると、「松ヶ岡」のコア(?)は「枠の内」に比べ横架材の縫い方が甘いと感じる。
 柱はすべて通柱で石場に置かれ、脚部を足固めで固めてはいるが、一部は貫で代用され、差し鴨居も半分だけと少々心もとないと思ったりする。

 あるいは、①と⑥の柱の位置が三尺ずれているのはなぜだだろう、浅学な僕なら①と⑥の柱を三尺、左に移した位置でコアを組むんだけどと思ったりする、きっと先建の計り知れない知恵がそうさせたのだろう、今後の工事の進捗が楽しみだ。

 来る1月23日(土曜日)に一般現場見学会を開催するのでご興味ある方はどうぞ。


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