智積院の名宝・長谷川派
お新しい年が始まりました、新しい年を迎えることが出来る喜びに感謝!
クニオ
“「去年今年貫く棒の如きもの」 高浜虚子”
ヨシコ
“ほんとうに、去年から今年、一瞬でしたね!”
クニオ
”僕は、その一瞬、寝てました“
ヨシコ
“去年今年に立ち会えないなんて、残念な人ね”
クニオ
“ (ノД`)ハァ ”
二人には昨年、積み残した話題があります、京都・智積院の名宝展(サントリー美術館)」です、今日は、この話題に関した二人の話に耳を傾けてみることにします。
クニオ
“ところで、人生の一瞬、一瞬に野望を胸に出世のチャンスをうかがって、絵の腕を磨いた室町時代の絵師と言えば”
ヨシコ
“長谷川等伯ね!”
クニオ
“That’s right”
クニオ
“思うに、等伯は絵画に対する並外れた技量の持ち主であるとともに、これまた、並外れた野心家でもあったようだね”
ヨシコ
“でしょうね、だって、祥雲寺(玄智積院)の障壁画という大仕事を獲得するために、狩野派の横っ面をひっぱたいたんだから”
等伯がこの仕事を取れたのも商雲寺の造営奉行の前田玄以(後の五奉行の一人)の引き立てであると言われている。「ライバル美術史 室伏哲郎 創元社」
クニオ
“千利休の影がチラチラするね“
ヨシコ
“そうよね、利休の美意識からしたら、大ぶりで絢爛豪華な狩野派は好みでなかったんじゃない!“
クニオ
“等伯も世に出るチャンスを虎視眈々と狙っていた だから 狩野派の豪放な金箔障壁画の手法を、必死に学び取ることもいとわなかった”
ヨシコ
“その学ぶ姿勢は貪欲ね、たとえ鼻につくライバルの画法であっても!”
クニオ
“等伯の素晴らしいところは、学び取った上に、さらに一工夫を加え、等伯流を編み出した点だね”
ヨシコ
“一工夫って?”
クニオ
“写実性! そこに、観る人に狩野派にはない、抒情的性を抱かせるらしいよ”
そうこうするうちに二人は「 桃山絵画の精華 」… 等伯と久蔵(息子)の障壁画作品展示室に
・「楓図」「松に秋草図」「松に黄蜀葵図」 … 長谷川等伯 「桜図」 … 長谷川久蔵
ヨシコ
“そうすると「楓図」は金箔障壁画でありながら、抒情的性を抱かせる作品になるわけね?”
クニオ
“そう! 永徳の鍵『「檜図」と比べて観ると良いよ鍵』言われたから「檜図」の写しを用意してきたんだ”
ヨシコ
“ちょっと見せて うーん そういわれると確かに檜図に比べると 自然な感じかな!”
“草花の違いは分かり易いね ほらほら ここ!ここ! 写実的だよね”
うして二人は細部にこだわり、作品が醸し出す生命感や抒情性に触れることを怠り、深い感動を得ることなく展示室を後にするのであった 残念!
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