掛川のコートハウス
掛川のコートハウス
一般的に、コートは外部からの視線を制御しながら閉じつつも開く、外部と内部空間の相互貫入を導く手法として有効です。
例えば芭蕉は「山も庭も動きいるるや夏座敷」と、山や庭が座敷に溢れ込んでくるような感覚を詠んでいます。
掛川のコートハウスは母屋の離れとして増築されました。
母屋と離れの間に挿入されたコートは、当初から視線の制御や室内外空間の相互貫入の役割と共に、増築と既存部分を離れず近すぎず、スープの冷めない絶妙な距離を保つ役目として構想されました。
住まい手はエアコンに抵抗があったため、パッシブデザイン(日射熱、風、光を暮らしに最大限活用・調整できるように住まいを設え、省エネルギーの住まいをデザインする手法)は計画上の重要な柱となりました。
母屋と離れの間のコートは風の道となり、庇のある広縁をイメージした回廊は、日差しのコントロールを期待できます。
居間の“吹き抜け”と“高窓”は、開放感を与えると同時に、夏の日中は上昇気流を起こし通風と換気を促し、夏の夜は外の冷気が居住域まで落ちてくるヒートチムニーとしての効果があることはよく知られています。
土壁は蓄熱・蓄冷性能が優れており、パッシブデザインに不可欠なアイテムとなります。
大きな部屋の高窓と斜め天井は、日射を最大限取り入れる工夫、できるだけ明るくしたいという住まい手の要望を形にしました。
軒の角度と出巾(120cm)は、夏至の南中時(太陽高度:78゜50´)により決定しました。
●建設地 掛川市
●構造・規模 木造2階建て増築
88.17m2(26.7坪)
●施工
○大工:(有)鈴木創建
○左官:(株)松本工業
○板金:(株)中山板金工業所
○住設:TOKAI
○製材:山田製材(株)
○構造材:(株)スンエン
○電気設備:(株)田嶋電気工業所
○給排水衛生:(株)浅岡工業
○防蟻処理(ヒバ油+木酢液)オリジンコーポレーション
●主な仕上げ
○外部
外壁:薩摩霧島壁、ベンガラ入り漆喰仕上げ、杉羽目板張り(土壁下地)
屋根:ガルバリュウム鋼板瓦棒葺き+太陽光パネル
○内部 床:杉板厚40、一部琉球畳敷き
壁:薩摩中霧島壁押さえ
天井:杉板厚15 本実小屋組表し
●温熱性能
熱損失係数(Q値) 夏期日射取得係数
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●木工事費 約 円
●左官工事費 約 円
木材コーディネーターによりコーディネートされた構造材費 約 円
●総工事費 16,000,000 〜18,000,000円(地盤改良費、外構費は含まず)
●設計監理料 1,600,000〜18,000,000円
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